観葉植物の株分けのやり方|できる植物の見分け方と手順・分けた後の管理
大きく育ったサンスベリアやスパティフィラムを、根元から2鉢に分けてみたい。そう思ったときに知っておきたいのが株分けです。観葉植物の増やし方全体は観葉植物の増やし方4選で解説していますが、この記事では株分けだけに絞って、やり方と注意点を詳しく掘り下げます。
結論から言うと、株分けは根がすでに付いた株を根ごと分ける方法で、挿し木や水挿しに比べて活着が早く失敗が少ないのが特長です。ただし、株元から子株が出て茂るタイプの植物にしか使えません。この記事では、株分けができる植物とできない植物の見分け方、適期、道具、7ステップの手順、分けた後の管理、うまくいかないときの原因まで順番にまとめました。
この記事の要点
- 株分けは根ごと分ける方法。活着が早く増やし方の中でも失敗が少ない
- できるのは子株や地下茎で増えるタイプだけ。一本幹の植物はできない
- 適期は植え替えと同じ生育期の5〜9月
- 分けた後は切り口を乾かしてから植え、明るい日陰で1〜2週間養生する
株分けとは|挿し木・水挿しとの違い
株分けとは、株元にできた子株や地下茎でつながった部分を、根が付いたままいくつかに分けて増やす方法です。切った茎から新たに発根させる挿し木や水挿しとは違い、すでに根がある状態で分けるため、根から育て直す手間がありません。
理由は単純で、挿し木や水挿しは「根がゼロの状態」から発根を待つのに対し、株分けは「根がある状態」を保ったまま新しい鉢に移すだけだからです。根が途切れる期間が短いぶん、株への負担が少なく、新しい環境にもなじみやすくなります。みんなの趣味の園芸でも、株分けは活着が良く失敗が少ない増やし方として紹介されています。
株分けができるのは、サンスベリア・モンステラ・カラテア・スパティフィラムなど、株元から子株が出たり地下茎で増えたりするタイプです。反対に、パキラやガジュマルのように1本の幹が立つタイプは分ける部分がないため、株分けには向きません。
「切って分けるだけなら挿し木と同じでは」と思うかもしれませんが、挿し木は茎の一部を切って新たに根を出させる方法、株分けは最初から根が付いている部分をそのまま独立させる方法です。根の有無という出発点が大きく違います。
できる植物・できない植物の見分け方
株分けができるかどうかは、植物の増え方のタイプで決まります。子株を出すタイプ・地下茎で増えるタイプ・株立ちで密集するタイプは株分けが可能で、1本の幹が立つタイプは対象外です。
| 比較項目 | 子株で増える | 地下茎で増える | 株立ち・密集型 | 一本幹タイプ |
|---|---|---|---|---|
| 代表種 | オリヅルラン・アロエ | サンスベリア・カラテア | スパティフィラム・アジアンタム | パキラ・ガジュマル・フィカス・ドラセナ |
| 株分けの可否 | ○ 可能 | ○ 可能 | ○ 可能 | × 不可 |
| 分ける部分 | 親株のわきに出た子株 | 地下でつながった茎 | 密集した株元をまとめて | (分ける部分がない) |
| 不可の場合の代替 | − | − | − | 挿し木・取り木へ |
← 横にスクロールできます →
見分け方のコツは、鉢から抜いたときに株元がいくつかの塊に分かれて見えるかどうかです。根元を見て、独立した株が複数集まっているように見えれば株分けの候補です。逆に、1本の太い幹がまっすぐ立ち上がっているだけなら、株分けできる構造になっていません。
パキラ・ガジュマル・フィカス(ゴムの木)・ドラセナなどの一本幹タイプは、株分けをしようとしても根元に分けられる継ぎ目がなく、無理に切り分けると株そのものを傷めてしまいます。これらを増やしたい場合は、挿し木が向いています。方法別の選び方は観葉植物の増やし方4選を参考にしてください。
「うちの株がどっちのタイプかわからない」という方は、まず鉢のふちから土を少し崩して株元をのぞいてみましょう。子株が独立して顔を出していれば株分け向き、幹が1本だけなら挿し木向き、という判断で大きく間違うことはありません。
適期はいつ?植え替え時期との関係
株分けの適期は、植え替えと同じ生育期の5〜9月です。できれば5〜6月の、気温が安定して上がり始めた時期がもっとも失敗しにくいタイミングになります。
植え替えとセットで行うのが基本
株分けは植え替えのタイミングに合わせて行うのが効率的です。どのみち鉢から抜いて土を落とす作業が必要なので、そのついでに株を分ければ、株への負担を1回にまとめられます。植え替え全体の考え方や頻度の目安は観葉植物の植え替え時期で詳しく解説しています。
理由は、株分け後の株が新しい根を張り直すために、暖かさと明るさが必要だからです。目安として最低気温が15℃以上ある時期を選ぶと、分けた株の回復がスムーズになります。気温が下がる時期に無理に作業すると、根が傷んだまま回復できずに弱ってしまいます。
「真夏でも大丈夫?」と思うかもしれませんが、生育期のなかでも猛暑日は株の消耗が激しいため避けたほうが無難です。同様に、気温が下がり始める10月以降も休眠に向かう時期にあたり、株分けには向きません。迷ったら、5〜6月の初夏を第一候補にしておくと安心です。
必要な道具・準備
株分けに使う道具は、家庭にあるものと園芸店で買えるもので十分揃います。特別な機材は必要ありません。
用意するもの
たっぷりの水
適量
準備で大事なのは、ハサミの消毒と、手でほぐす部分・刃物を使う部分の使い分けです。株が自然にほろほろと分かれる場合は無理に刃物を使わず、手でやさしく割くほうが根を傷めません。一方、地下茎や根がしっかりつながっていて手では分けにくい場合は、清潔なハサミで切り分けます。
ハサミは使う前にアルコールで拭くか、熱湯にくぐらせて消毒しておきましょう。汚れた刃で切ると、切り口から雑菌が入り込み、腐敗の原因になります。複数の株を続けて切り分けるときは、株ごとに拭き直すとより安心です。
株分けの手順7ステップ
準備ができたら、実際の手順に進みます。すぐに植えず、切り口を乾かす時間を挟むのが失敗しないための最大のポイントです。
鉢から抜く
株元を持って、根鉢ごとそっと鉢から引き抜く
土を落とす
古い土を軽く落とし、根の様子と株の分かれ方を確認しやすくする
分け目を見極める
株元がいくつの塊に分かれているか確認し、各株に根と葉(芽)が付くよう分け方を決める
切り分けるか手で割く
自然にほぐれる部分は手で、つながりが強い部分は清潔なハサミで切り分ける
切り口を半日〜1日陰干し
切った断面を風通しのよい日陰で乾かし、傷口を落ち着かせる
新しい鉢に植える
鉢底石と観葉植物用の培養土を入れ、分けた株をそれぞれ植え付ける
軽く水やりする
土となじませる程度に軽く水を与え、あとは土が乾くまで待つ
失敗しないコツは、切り口をすぐ土に埋めず、必ず乾燥時間を置くことです。切ってすぐ湿った土に植えると、傷口がふさがる前に水分に触れ続け、腐敗菌が入り込みやすくなります。半日〜1日、風通しのよい日陰に置いて断面が乾いてから植え付けましょう。
「乾かしすぎて根が傷まない?」と心配になるかもしれませんが、半日〜1日程度であれば根が乾ききってしまうことはなく、むしろ切り口を保護する効果のほうが大きいです。焦って植え付けを急がないことが、その後の活着を左右します。
株分け後の管理
分けた株は、しばらくのあいだ根が落ち着くまでの養生が必要です。乾燥に強いタイプと湿り気を好むタイプでは、水やりの加減が変わります。
乾燥系(サンスベリア・多肉植物)
- 数日〜2週間ほど断水する
- 切り口が完全に乾いてから水やり再開
- 過湿による腐敗を最優先で避ける
乾かし気味に徹する
湿潤系(モンステラ・カラテア)
- 断水はせず控えめな水やりを継続
- 土の表面が乾いたら少なめに与える
- 極端な乾燥は避けつつ与えすぎない
控えめな水やりを保つ
共通するのは、明るい日陰で1〜2週間ほど養生させることです。直射日光の当たる場所に置くと、根が少ない状態の株には負担が大きすぎます。落ち着くまでは柔らかい光が入る窓辺程度にとどめておきましょう。
分けた直後は、葉に一時的なしおれが出ることがあります。これは根が減ったことによる水分バランスの乱れで起こることが多く、必ずしも失敗を意味しません。数日〜1週間ほど様子を見て、葉に張りが戻ってくるかを確認してください。
水やり前の3チェック
株分け後の水やりも、あげる前に次の3点を確認しましょう。
- 土の乾き:指を土に入れて、中までしっかり乾いているか確認する(表面の色だけで判断しない)
- 受け皿の水:受け皿に水が溜まっていれば、根腐れの原因になるため必ず捨てる
- 季節:気温が低い時期は土が乾きにくいため、乾いていても数日待つくらいでよい
観葉植物の失敗No.1は水のやりすぎです。とくに株分け直後は根が少なく過湿に弱いため、迷ったら「あげない側」に倒すのが根腐れを防ぐコツです。
分けた株が枯れる・元気がない時の原因
株分け後にうまくいかない場合、原因は大きく3つに絞られます。切り口の腐敗・根が少なすぎる・直後の直射日光です。
うまくいかないときのチェックポイント
株元が茶色く柔らかくなっている場合は、切り口からの腐敗が疑われます。乾燥時間が足りなかったか、消毒していないハサミを使った可能性があります。葉がしおれたまま戻らない場合は、分けた株の根の量が少なすぎたことも考えられます。次回は各株に根がしっかり残るよう、あまり細かく分けすぎないようにしましょう。分けた直後に直射日光に当ててしまった場合も、葉焼けやしおれの原因になります。すでに弱ってしまった株の立て直し方は観葉植物の植え替え時期の管理方法もあわせて参考にしてください。
腐敗が疑われる場合は、黒く柔らかくなった部分を清潔なハサミで取り除き、健康な白い根や硬い組織だけを残して植え直す方法もあります。ただし進行がひどい場合は回復が難しいこともあるため、早めに状態を確認することが大切です。
「分けた株が全部だめになったらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、複数株に分けておけば、そのうち1〜2株が順調に育てば十分成功と言えます。1株にすべてを賭けず、数を分けて様子を見る余裕を持っておくと気持ちが楽になります。
比較:株分けvs挿し木、結局どっち
子株や地下茎のある植物では、株分けと挿し木のどちらで増やせるか迷うことがあります。判断の軸は、株元に分けられる子株や地下茎があるかどうかです。
サンスベリアのように両方の方法が使える植物もあります。急いで確実に増やしたいなら株分け、たくさんの株を一度に増やしたいなら葉挿しという使い分けが可能です。サンスベリアならではの増やし方の詳細はサンスベリアの植え替え時期もあわせて確認してください。
サトイモ科の樹液・切れ端の扱いに注意
モンステラなどサトイモ科の植物は、切ったときに出る樹液が肌に触れるとかぶれたり、口に入ると刺激になったりすることがあるとされています。「安全」と断定はできないため、作業時は樹液が気になる場合は手袋を使い、切り分けた株や葉はペットや小さなお子さんの手の届かない場所に置くよう気をつけてください。
まとめ
株分けは、根がすでに付いた株を分けるため活着が早く、増やし方の中でも失敗が少ない方法です。ただし株元から子株が出たり地下茎で増えたりするタイプの植物に限られ、パキラなど一本幹タイプには使えません。
適期は植え替えと同じ5〜9月で、できれば5〜6月がおすすめです。分けたらすぐ植えず、切り口を半日〜1日乾かしてから植え付けること、そして分けた後は明るい日陰で1〜2週間ほど養生させることが失敗しないための要点です。水やり前の3チェックを習慣にして、分けた株も長く元気に育てていきましょう。
参考にした情報
- みんなの趣味の園芸「株分けで植物を増やす方法」(株分けの3タイプ・適期・手順・分けた後は半日陰で管理)
- ハイポネックス Plantia「サンスベリアの育て方」(株分けの適期・植え替えと同時に行う方法)
よくある質問
株分けをしたらすぐに水をあげていいですか?
すぐには与えず、切り口を半日〜1日ほど乾かしてから植え付けるのが基本です。植え付け後の水やりも、たっぷり1回与えたら次は土が乾いてから。切り口が塞がる前に多量の水を含むと、そこから腐敗菌が入り込みやすくなります。
植え替えと株分けは同時にやってもいいですか?
むしろ同時に行うのがおすすめです。植え替えでどのみち鉢から抜いて土を落とすため、そのタイミングで株を分けると株への負担が1回で済みます。株分けだけを目的にわざわざ鉢から抜く必要がなく、根詰まりの解消と増やす作業を一度にまとめられます。
分けた株がしおれてきました。失敗でしょうか?
分けた直後の一時的なしおれは、根が減ったことによる水分バランスの乱れで起こることが多く、必ずしも失敗ではありません。明るい日陰で数日〜1週間ほど様子を見て、葉に張りが戻ってくるか確認してください。しおれが強く長引く場合や、株元が茶色く柔らかくなっている場合は切り口の腐敗が疑われます。
株分けのハサミは消毒したほうがいいですか?
消毒することをおすすめします。汚れた刃には雑菌が付いていることがあり、切り口から入り込んで腐敗の原因になります。使う前にアルコールで拭くか、熱湯にくぐらせてから使うと安全です。複数の株を続けて切る場合は、株ごとに拭き直すとより安心です。
1つの株は何株くらいに分けられますか?
目安は2〜3株です。細かく分けすぎると、1株あたりの根や葉の量が少なくなり、その後の生育が弱くなったり枯れやすくなったりします。各株に根と葉(芽)がしっかり付くように、株の大きさに応じて無理のない数で分けるのが失敗しないコツです。